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シニアは孤独を感じやすいのか

Yahooニュースを見ていたら、この30年で「ひとりでいるほうが好き」の割合が「みんなでいるほうが好き」を逆転したらしい。
この調査は、博報堂生活総合研究所が首都圏の1200名の25~39歳の男女を対象に行っており、1993年の調査から+12.8%増加して56.3%の人が「ひとりでいるほうが好き」と答えている。

世の中はすこしずつ、ひとりが好きが増えているのか。
そう思うと、ぼっちキャンプや孤独のグルメとかソロで楽しむ番組もいくつかあり、
世の中的にはソロ化社会がどんどん進んでいるようである。

孤独は社会問題

一方で、イギリスや、日本には孤独担当相というものもでき、孤立・孤独がひとつの社会問題として捉えられている。
世の中だんだんひとりで楽しむ世界が広がる一方で、社会問題として捉えられ、(政治)制度的な対処が必要という状況で、孤独をめぐる2面性はどういうことなのか。

また中高年のひきこもりとか孤独死とか特に中高年については、孤独感が強く寂しい感じで語られることも多いので、今回は孤独とは何なのかを学んでみたい。

孤独が社会問題である背景

イギリスの調査では孤独で生じる経済的損失は、約4.8兆円にも達するらしい。
孤独感が病気を引き起こし、医療費の増大や、孤独感体調不良で生産性の低下をもたらしたりと、
孤独は社会的損失を伴うものと捉えられている。
日本でも、孤立対策推進法の趣旨には、「近時における社会の変化を踏まえ、日常生活若しくは社会生活において孤独を覚えることにより、又は社会から孤立していることにより心身に有害な影響を受けている状態にある者への支援等に関する取組」と記載があり、
心身に有害な影響=健康問題のひとつとして国として取り組んでいく必要性を唱えている。

孤独・孤独感はそもそもひとりひとりの感情にもとづくものなのだが、実際健康に害を及ぼし、その影響で生産性や、引きこもり、いじめ、自殺といった問題を引き起こし、社会的損失を生み出す。
特にコロナにより、ここ数年間人との接触をなるべく減らす期間が続いたため、より孤独感を感ずることが多くなって来た、社会的影響が出てきたということだと思える。
コロナ禍が残した災いのひとつが孤独感であり、今しきりに孤独が取り上げられる理由もそこにある。

シニアは孤独を感じやすいのか・・・内閣官房の調査から

特にシニアは死別、離別、退職等による社会からの孤立等外部との交流が少なくなり孤独を感じる状況に陥りやすい
と言われてきている。孤独=シニアの課題のひとつみたいに、孤独の代表層として言われることも多い。
では実態というのはどうなのか。ここに、内閣府の孤独・孤立対策を進める上での実態調査がある。

年齢16歳以上、住民基本台帳から無作為抽出した2万人を対象して令和4年に行われたもの。(回答数は、11218人)


年齢別孤独感を感じる割合を見ると、20歳~39歳の割合が高く、男女別では、男性では50-59歳、女性では30-39歳が最も多い。
調査統計的には、シニアに孤独感を感じやすいとうことはなさそうである。男女とも60歳を過ぎると孤独感を感じる割合がどんどん少なくなってきている。
孤立化が進みそうな年齢(例えば60代以降)になった=孤独感が増えるというわけでもなさそうだ。
孤独の科学においても、人は歳を取ればとるほど幸せに感じることのほうが多くなるらしい。
それは長年のうちにネガティブな刺激に対して鈍くなると同時に、残される時間が短いので、情緒的に満たされる人生の側面=人とのつながりに焦点を合わせられるかららしい。

孤独とは何か・・・つながりを求める欲求

統計からみても、ひとりでいること=孤独ではないようだ。それでは孤独とはいったいどういう状態なのか。
「孤独の科学」という本では、孤独感とは、特に社会的なつながりを修復するようにという単なる呼びかけ=自分への欲求だと述べている。
人間というのは、本来社会的動物であり、私達が互いに依存するのは心遣いや慰めのためではなく、生存そのもののためらしい。
孤独感とは生存本能から来る自分に対する欲求、つながりを求める欲求なのである。
その欲求に対しての強さの程度が、中堅層の孤独感の比率の高さを示してるのかも知れない。

実は孤独感は歴史的な概念

孤独は生存本能から来る自らへの欲求と述べたが、孤独というのは実は歴史的な概念でもあるらしい。
大昔には孤独という概念がなかったというわけではなく、歴史的に孤独が強調されて来ているということだと思う。
戦後、血縁、地縁、会社縁といった伝統的つながりから個人主義への転換や、20世紀後半に広まった新自由主義は、
市場競争の奨励や個人の自己責任の強調、個人主義の強化や、非正規雇用等にみられる収入格差や社会的不平等の拡大をもたらした。こうした動きは、良い面ももたらしたのだろうが、悪い面として、孤立化を増やし孤独感を感じ易くしてきたともいえる。
本来は、こうした面は社会福祉政策としてサポートすべきなのかも知れないが、新自由主義はこうした福祉サポートを縮小する傾向にもある。
もちろん現代には、ネットという便利なツールもあり、SNSで容易につながることもできる。
しかしながら、孤独感があるときに必要なつながりとは、質が重要で、数ではない。
SNSは逆に、孤独を助長し、人々が実生活でつながるのを妨げると言われてもいる。
つながりを求めるとは言え、重要なのはあくまでも、つながりの「質」ということだ。

孤独は必ずしも悪いことではない。でも孤独を感じたら・・・

孤独は、必ずしも悪いことではないしポジティブな側面も持つ。
孤独は、自分の感情や価値観と向き合い、深い自己認識を得るための機会を提供したり、日常のストレスから離れてリフレッシュし、リラックスするための機会となる。この時間を使って趣味に没頭したり、自分の欲求にあったことを邪魔されずに追及できる。

でも、もし孤独感にさいなまれるようになった場合はどうすればいいのか? 

「孤独の科学」では、孤独感は一生続くものではなく、社会的なつながりを修復するようにという単なる心の呼びかけ だとわかってしまえば対処は簡単だと述べている。
その対処とは、自分を満たそうとするのではなく、他人を満たそうとする力が必要だと続く。
他人に手を差し伸べ寛大な行為をする、他人に対して心を開き、役に立とうとするだけでよいと。

すこし「宗教的」にも感ずるが言い得て妙かなと思う。

重要なのは、孤独感とは、一生続く感情ではないこと。
逆説的なのだが、自分に対する欲求を満たすために、他人への手を差し伸べることが必要だということだ
自分の存在の中核にぽっかり穴の開いたような感じ(いわば、満たしてやらなければならない飢え)を経験しているにもかかわらず、この飢えは、食べる行為に集中しても決して満たされない。こういうときは、自分のおかれている状況がもたらす痛みの外へしばらく出て、他者を満たす必要がある らしい。

どんな小さなことでも構わないから、他者に手を差し伸べてみることが自分の存在を認識して、孤独感を和らげるのかも知れない。
ただ、孤独の科学では同時に、ついつい相手を喜ばせようとする罠に陥るので自分が現実的にこなせる関係の種類と数を承知しておくことも必要だと説く。あくまでも必要なのは、つながりの「質」なのだ。

孤独の感じ方は、個人の感受性や置かれた立場、時期(ライフステージ)等で、大きく異なる。
孤独感を感ずるのは、社会的関係をもつ人間本来の欲求であり、正常な感情なのかもしれない。
だから、感じていることに不安を感じたり、パニックに陥ることなく、自分が何を欲しているのかを見つめ、
少しづつでも、どう他者との質のいい関係性(手をすこし差し伸べることでもいい)を作っていくか
トライしてみることなのかも知れない。

■参考資料
ヤフーニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/286107653a444860840634f888547d2445bcc980
私たちはいつから「孤独」になったのか・・・フェイ・バウンド・アルバーティ/[著] — みすず書房
「孤独の科学」ジョン・T・カシオポ, ウィリアム・パトリック 他 河出文庫
内閣府 孤独・孤立の実態把握に関する全国調査
日本総研:エビデンスに基づく孤独・孤立政策に向けて
週刊東洋経済 2022年11月26日号
プレジデント 2024年2月16日号

能力は年齢と共に衰えるのか

年齢条件は依然厳しい

コロナも5類となり、日常生活が少しづつ戻ってきている。
少子高齢化がどんどん進んでいく中で、長期的にはシニアの就労への役割は高くなって
いいはずであるが、案件の年齢状況を見ると、なかなかそうなっていないようだ。

そこには、年齢が高い人に対するステレオタイプ的な見方(バイアス)があるようにも思う。
ネガティブバイアスであれば、生産性が低い、新しい環境への適応力が弱い、といった能力
に対しての面や、年上に指示は出しにくいといった心理的なバイアスもあるであろう。

やはり年齢が高いと能力が低いのか?

能力の面で、年を取ると生産性が低いのかについて今回調べてみた。
年齢と能力(intelligence,ability)の研究は長い間行われてきており、
最もポピュラーな分析は知能を流動性知能と、結晶性知能に分けて分析するやり方である。
多くの知能検査もこうした理論やその派生理論に基づいて行われてきているようである。

流動性知能と結晶性知能

           (図1 流動性知能と結晶性知能、年齢による変化)
流動性知能とは、生まれつきの能力とも言われ、短期記憶に能力に依存し、脳の伝達速度に
由来する能力で、情報の処理スピード、直観力、法則を発見する能力、図形処理能力、
記憶力等が当てはまる。いわば、ハードウエアとしての脳の能力を示す。
こうした能力の一部、例えば数的処理能力は20歳前後にピークを迎えるらしい。
子供が暗算のスピードや、知識の量や蓄えるスピードをテレビなので見るといつも関心させられる。
但し、流動性知能の中でも知覚速度や空間認知といったの能力は、60才ぐらいまでは維持され
ゆっくり下がってくるとわかっている。

結晶性知能は、後天的で、長期記憶の能力に依存し、知識の獲得と技能・経験の習熟によって
成長しつづける能力で、言語能力、理解力、洞察力のような能力が当てはまるようである。
大手企業の会社の経営者も50代、60代が多いし、こうした方々が話しているのを見ると重みや、
深さを感じるのはそういうことであろう。


(図2 6つの能力の年齢による影響)

加齢でも向く仕事とは:自己の経験を活かす、言語を媒体とする仕事

グラフを見ると、得意な仕事の分類、苦手な仕事の分類が見えてくる。
やはり、長い年月をかけて獲得された経験に関連した仕事遂行は得意だろうし、
言語理解能力も深まることから、言語化する仕事、言葉によって伝える仕事、
例えば、プロジェクト監査やプロジェクト支援、プロジェクト調整が向いているのかも知れない。
設計等も、過去の経験、知識が活かせ、経験的評価が活きる場面では向いているのだろう。

逆に向かない仕事:スピードを要求される仕事

処理スピードについては、遅くなるので、速度を求められる仕事や、新しい分野の習得については
若い人とは同じ速度ではできないのかも知れない。
PCやスマホを打つスピードも、やはり若い人にはかなわないだろう。
ただ速度は遅いけれども、熟考しながら進めて行くことで、ミスや手戻りを減らしカバーできる仕事であればOKだ。
新しい分野の習得(例えば新しい言語の習得)についても、難しいというわけではなく、
若いころより時間がかかるというレベルだろう。
iPhoneのゲームアプリ「hinadan(ひな壇)」を作った有名な若宮さんは、81才からプログラミングを学び始めたようであり、スピードを求められなければ、60代でも、30代、40代と変わらないか、経験や知見をもとにした仕事であれば、それ以上の能力を発揮できる可能性があるということが確認されているのだ。

個人差はあるので

こうした能力には個人差があり、かつ年齢が高くなるにつれ、ギャップも大きくなるようだ。
結晶性知能も、後天的な能力であるので、使われなければ、落ちてくる。流動性知能についても同様で個人差もあえば、訓練によって維持していくことも可能なようだ。図3は知能試験での年齢別の分布を示したものである。一般的知識に関しては平均はゆっくりと下がっているが、分布幅を見るとほぼ平行であり年齢差は顕著ではない。一方情報処理速度については、分布幅も顕著に右下がりではあるが、個人差があり、60才でも速い人であれば、40才の平均ぐらいの処理速度を備えている。

いくつになっても自分の能力を磨き続けることが大事

今回は年齢における能力差についてみてみた。スピードや量といったハードウエア的能力については、次第に落ちてくるも、仕事を遂行していくための能力については、年齢による影響は60代までは、影響はない、さらに延びていく能力もあることを見て来た。またそうした能力を維持、強化していくためには、能力を使っていくことが大事であることを述べた。

心理学者のシャイエ(図2の研究を行った学者)は、こうした能力を維持するためには下記の心得や環境が必要だと述べている。
・複雑で知的刺激が多い環境にあること
・柔軟な生き方をすること
・脳の情報処理の早さを維持すること

こうした環境、生き方を進めていくためには、’どう老年期を生きたいかの選択’によるところも大きいようにも思う。働くことの意味付けも若いころと異なるであろう。次回は、老齢期における仕事をすることの意味についても考えてみたい。

参考文献
:「知的機能の変化と適応」 東京大学ジェロントロジー研究会
:知能の複数の下位側面(佐藤眞一(2006)2)より引用
:知能のエイジングに関する研究の動向 日本老年社会科学会 西田 裕紀子
:高齢者心理学、北大路書房
:最新老年心理学 : 老年精神医学に求められる心理学とは ワールドプランニング
:発達心理学Ⅱ 東京大学出版会
:新・発達心理学ハンドブック = HANDBOOK OF DEVELOPMENTAL PSYCHOLOGY 福村出版
:Handbook of the psychology of aging Ninth edition (The handbooks of aging)

 

 

アフターコロナの案件状況は(PART-Ⅱ)


前回2021年度の案件状況を2020年度と比較し、件数として回復傾向にあること、その中でJava案件の
延びが大きいことが解りました。(前回ブログ)今回は、2021年度のCOBOL案件や、インフラ・基盤、PMO案件の傾向をまとめてみたいと思います。なお、毎度のことですが、あくまでも弊社に来る案件を基にまとめたものであり、規模的には小さいので、一つの例、状態としてこんなことが起きていると見て頂ければ幸いです。

1.COBOL案件状況:年齢条件としてはあまり変わってきていないが・・


COBOL案件の年齢条件の変化を分類してみました。2019年から2022年1月~3月期を比較してみると、
年齢割合は大きくは変化していないように見えます。年齢条件記載無し案件の比率は増えてはいますが、30代40代+年齢記載なしと50代~65才までの案件数割合は、少しづつ50代以降の比率が少なくなってきており、コロナを乗り越えた後に、年齢制限が大きく緩和される状況になるということは現状なさそうです。
やはりこうした制限を超えていくには、スキル、経験が特殊(アセンブラ、特殊言語)であったり、
深さ(例えばOS系やツール系のスキル、業務・上流系)、過去従事プロジェクトの長さ等が重視されてくると思われます。

2.インフラ・基盤案件の傾向・・・AWSが6割


弊社に来る件数の2割を占めるのが基盤系の案件。件数も年々延びているので、その中でクラウド指定がどれほどあるのか調べてみると、AWSが55%、Azureが25%、GCPの割合となってきています。
OSで見るとLinuxが7割、Windowsが3割という比率となっています。


クラウド別OSで見ると、AWSではLinuxが8割の比率となっているのに対して、逆にAzureでは7割がWindowsとなり提供元の特徴が顕著に出ている結果となりました。
やはりクラウドを選択する際においてもOffice365等MS製品の親和性を優先しているのかも知れません。今後インフラ基盤技術でアピール目指す方は、LinuxメインであればAWSのサービス、WindowsであればAzureのサービススキルを身に着けると、よりスキルアピール度が高くなると言えるかも知れません。

3.PMOに求められる役割とは・・業務スキル、基盤スキルのプラスαが必要な案件が9割近い


PMO案件についても1割強を占めるので、どのような役割が求められるか分類してみました。年齢を重ね、開発現場から管理をメインでされていた方は、PMOでの案件要望となりますが、PMOに求められる役割も非常に幅が広い。PMのお手伝いで議事録書き等から、基盤や開発の支援、その上流をつかさどるもの、コンサル的に立ち回るものまで、求められるスキルもかなり多様です。
そこで、PMOとしてどんなスキルが求められているかを調べてみましたた。
2021年の案件を見ると工程管理、進捗管理、品質管理、ファシリテーション等の分野は、1割強。顧客の業務や、プロセスフロー等業務系が求められているPMO案件が社員代替も含めて5割を占めています。その他、開発技術(例:ソースレビューや、フレームワーク技術)や基盤技術(例:クラウド技術)等自らは”手を動かさない”けれども技術的支援を担う案件も3割強あり、PMOとしてのみ専門で来た方より、今まで設計や開発、基盤構築等を経験した方がPMOとしてプロジェクトを引っ張って行く、そんなPMOが今求められていると言えます。

以上2021年度の案件を分析して来ました。コロナで一時期大きく案件件数の変動はありましたが、コロナを経て大きなトレンドに変更はないまま、件数的にはコロナ前に戻って来た状況にあるようです。また定期的に件数変動等分析していきたいと思います。


#シニア #仕事 #エンジニア #システム #COBOL #コロナ #クラウド #基盤 #インフラ #PMO #AWS #Azure #Linux #Windows

「生涯現役」という商標と言葉の持つ力

「生涯現役」という言葉は商標

生涯現役という言葉。見ない日はない。例えば「生涯現役」という言葉で検索すると
277万件出てくる。国、自治体、団体から企業、個人まで広く使われている言葉だ。

ただ、ご存じだろうか、この「生涯現役」という言葉。商標登録されている言葉だ
特許情報プラットフォームJ-platpatで生涯現役を検索すると「生涯現役」で商標登録されている件数は10件(8社)。ぞれぞれ分野が異なっていて、教育事業から、金融商品、清涼飲料から、お菓子まで多岐にわたっている。

この中で一番古く登録している組織がライフベンチャー株式会社で1990年に登録となっている。
(このライフベンチャー株式会社は、私が所属している任意団体日本生涯現役協議会の関連組織である)
登録分類(対象製品)は、印刷物,書籍,雑誌,新聞等々で1997年に高齢化社会に対応し得る知識・能力の教授並びに地域社会に貢献できる人材に必要とされる知識・能力の教授という内容で登録し直されている。

最も新しい「生涯現役」の商標登録は、2014年12月 松崎製菓さん。もちろん分野はお菓子だ。

商標である意味は? 権利行使できるの?

もちろん、「生涯現役」という言葉を商標登録するのには理由があったはずで、普通は、商標登録することにより、言葉をブランド化して差別化したいという意図があったのではないかと思う。

でも現実には、「生涯現役」という言葉、ものすごく多く使われている。例えば 生涯現役セミナで検索しても大量に検索結果が出てくる。皆普通の単語として「生涯現役」という言葉をつかっている。

それでは、例えば商標権の行使ってできるのか?
興味があったので商標・特許を扱う何名かの弁理士さんに聞いてみた。

「画一的な判断はできないのですが・・・と前置きしながら、弁理士さんは
商標登録されていても、必ずしも訴求できないものがあります。
例えば一般的に使われている単語になった場合のように普通名称化すると商標が登録されていても、
商標権の行使が不能となり、第三者による無断利用を排除することができない場合があること。
”生涯現役”という商標は、そういう対象になる可能性はあります。
また今まで、何もしていなくて、突然権利主張するのも難しいのではないか。」
とのお話をされていた。

閣議決定で「一億総活躍で生涯現役社会の実現」という言葉が出ている時代だ。誰でも使うのが普通になっている状況と捉えるべきだろう。
商標権を行使するということより、ここまで、商標登録した言葉が、一般用語にまでなったことを喜び、皆にどんどん使ってもらう。そこに価値を見出すことが重要なのかと感じた。

「生涯現役」という言葉のもつ価値・力とは

ここまで広まった「生涯現役」という言葉だが、そもそもこの言葉にはどんな”価値・力”があるのだろうか。

例えば皆さんは「生涯現役」という言葉にどんなイメージを抱くだろうか。

実は先日、複数の方から、たまたま「生涯現役」という言葉について、同じ内容の質問を受けてしまった。
「生涯現役ってやはり”働くこと”に限定されているんですよね」

もちろん、生涯現役という言葉、使われる場面で様々な意味で使われていると思うのだが、働くことだけ指しているわけではなく、もっと広く、生きがいをもちながら社会とかかわっていくこと、だから趣味でもいいし、地域での役割でも
いいし、必ずしも生涯現役=”働く”ということではないはずなのだ。

でも、最初に来る「生涯現役」から来るイメージは「働かなくちゃ」というところに来る。
(正直、私も長く働いていける社会を創る活動をしている手前、生涯現役と働くを結び付けて発言したり、書いたりすることが多いのだが・・・)

生涯現役という単語、概念そのものは、明るい未来を切り開こうという感じなのに漢字4文字の構造と相まって、重ーい単語のイメージをかもしだしている。
いやいや「生涯現役」って働くことだけじゃないですよっていくら力説したいところだが

先ほどの弁理士さん曰く、
言葉の持つブランド価値・ブランドイメージは、創った本人ではなく、受け取る相手が決めるもの
その言葉にどんなブランド価値を相手の方がもつのか、それをイメージしないと単語そのものに価値を持たせようと
しても意味ありませんよってな話も同時にされていた。なるほど。

確かに、中身は似ている”管理栄養士”と”野菜ソムリエ”。コンテンツ的には似通っていても、言葉のもつ受け取るイメージは大分違うのと似ている。
ライフキャリアプランニングという言葉も、人生の計画という意味だが、どうしても働くという意味がメインにでてしまうのと似ている。

一般用語した「生涯現役」という言葉がもっと一般的となって”ずっとアクティブに”ぐらいなイメージになるともうすこし明るく力のある言葉になるのではないかと思うがどうだろうか。

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