4月、5月とシニアライフデザインセミナーを開催している。
ライフデザインといっても”お金”の話ではない。
主に、どう生きていくかという”人間力”のセミナーだ。
このセミナーをやっていると
毎回講師セミナーからうける気づきの他、参加メンバからの気づきにハットさせられる。
40分ほどの講師からのセミナーのあと、コーヒーを飲みながら”お茶べり”と称して、トークタイム。
メンバーから講師への質問やら、出来事等色々話をメンバごとに話をしていくのだが、
ここが”ネタ”になって、さらにセミナーの内容がさらに深くなる。
第1回目のテーマは、「自分の賞味期限を延ばす人間力」。
様々な署名人の事例をもとに人の魅力ってどこから来るのか。そして”与える”ことから来る人魅力について講師が解説。
これを受けてある参加者から最近”与えられた”エピソードを話された。
この方、先日友人に誘われて、初めてAKBの握手会に行かれたそうだ。
もともとAKBにも、アイドルにも興味もなく、友人に誘われの人生初めての握手会。
一応予習してメンバの名前を憶えて会場入りされたそうだ。
列にならんで、いよいよ握手の順番に。ところが目の前にいたのは研究生。もちろん予習の範疇外。
そして握手へ。名前も憶えてこなかった研究生との握手。ゆっくりと手を出し、小さな手を握った瞬間、ビビッと電流が腕から体に突き抜けたそうだ。
重要なのはこの後。この方、この握手会の後からからラッキーなことが立て続けに起き、モチベーションがかなり高くなったそうだ。この方、たまたま友人に連れられて行った握手会。そこでエネルギー”与えられて”いいことを”引き寄せて”しまった。
シニアになると、”モチベーションがでない”とか”やりたいことがみつからない”という悩みをよく聞く。
この話を聞いて、実は気持ちが上昇するようなワクワク感がそもそも無くなってることが原因なのではないかと思っている。
年齢を重ねると、どうしても予想範疇内で生活する(できる)ようになってくる。もちろん日々身の回りで事件は起きる。緊張することはあっても、でもワクワクすることは少なくなっているのではないか。
シニアが”生き生き”としていくには、このワクワク感が必要なのではないか。どうしたらワクワクするのか、それは”ちょっとした冒険をする”ということだろう。冒険の度合いは、個人によって違うだろう。知らない街を歩くでもいいだろうし、いったことのない美術館にいくとか、”自分なりのちょっとした冒険”をもっていることが”生き生き”生きるコツのひとつかも知れない。
2回目は、「自分を次元上昇させる出逢い力」。セミナーの中で”あなたが影響を受けた人男女8人づつ上げる”ワークショップがあった。大方のメンバが、親、学校の先輩、友人、会社の同僚、先輩、上司を上げる中、お一方、自分のご子息を上げられた方がいらっしゃった。お二人お子様がいらして、同じ育て方をしてきたんだが、全然異なる成長をしている。その成長を長く見つめながら、自分が大いに成長したとおっしゃっていた。
確かに自分に影響を与えた人間は、必ずしも同僚、年上だけではない。
しかもこの方、教えてもらうことによってでなく、自分が教えることによって自分があらたな発見・成長があるものだなと気づいている。まさに目からうろこだ。
どうしても自分にとって重要な人間というと、目上、同僚を考えてしまう。でも、同様に自分を取り巻く若い人も同じくらい重要なはずだ。若い人から学ぶこともあるし、この方の例のように”教えることの”反射で自分が気づくこともあるだろう。
どうシニアが若い人と付き合っていくのか。上司・部下、年上年下といった立場をとりはらってお互い学ぶ相手として向き合う。こうして向き合えば、もっとシニアも”学びながら”成長を感じることができるのではないだろうか。
この2つ、話の視点は異なりますが、両方とも偶然にもシニアにとって自分が成長していく、エネルギーを得ていくために”若い人”がキーになっているお話でした。
連続セミナもあと1回。次回は「幸せをもたらす人間関係力 自分と周りの人達のトリセツ研究」次はどんな新たな気づきが出てくるだろか。また楽しみである。
先日、55歳からのサバイバル術というセミナーに出席してきた。
この中でサイボウズ社の野水克也さんのお話がおもしろかったので、記載します。
野水克也さんは、現在サイボウズの社長室フェロー。もともとテレビカメラマンを8年。家業の建設業の経営を5年後、2000年にサイボウズに入社されている。
サイボウズ社自体、”副業禁止は禁止”というぐらい副業推奨していて、最近では”副業として採用”までしている。
野水さんも「働き方改革」というキーワードで、いろいろなところで講演されているようだ。
野水さんの副業は、もともとの仕事だったカメラだ。今では、クロマキー技術を使ったり、ドローン撮影など、新しい機材や技術を取り揃えてプロ顔負けらしい。
そもそもは、2005年に10年ぶりにカメラに触って写真を撮り始めた。最初は会社の広報補助でということで実施し始めたそうだ。補助として再開したカメラだが、周りのプロのカメラマンの撮り方を見て、技術的にはそれほど違いはなかったと感じ、野水氏のカメラマンの”副業への道”が始まる。
最初は、補助から、ちょっとしたお金を謝礼ベースで受け取る形に。やはりプロ並み?のお金は撮りにくかったし、請求もしにくかったと語る。
こうして、ちゃんとしたお金がとれるようになるまでに”5年”ほどかかったと述べる。
さらに野水さんは、稼いだお金をすべて機材につぎ込んでレベルアップを図る。どんどん新たなことに挑戦して、自分でないとできない得意技に。こうして、現状では、社長室長をこなしながら、空いた時間の副業で年収の10分の1ぐらい稼いでいると語る。
野水氏は、自らの体験から、”副業”をするには、キャリアチェンジの時間=「学習」が必要だと説く。
そのために、現在の会社での「働き方」を考えて、長くいることをメインにするのを変更すべきと説く。長くいることで”学ぶ”時間がなくなってしまいますよ。
副業の選択の基準としては3つあげていた
1)自分の好きなことを選択する。お金だけのためではなくて、自分の好きなことを選択することにより掘り下げられ、長く続けられる。元テレビカメラマンだった野水さんがお金ちゃんととれるまで5年かかっている。長く続けない限り、難しいということだろう。
2)複数スキルで働く 単一スキルだけでは、専門にしている人には勝てない。そこは複数スキル(例えばIT+農業やIT+経営)で売り込むことによって、チャンスが広がるということだろう。スティーブジョブスの言葉に”創造とは結びつけること”という言葉もある。副業で何か新たなものを創らないといけないという考え方でなく、何か”結びつける”ことそれ自体が創造。だから、学習をする上においても、自分の現在あるスキルに何をプラスアルファして、差別化をするのか選択するということだろう。
3)高単価、省力ビジネスを選択する。
やはり、シニアになると体力は落ちてくる。労働集約的な仕事を選択できませんという話。
”副業”である以上、本業への影響は最小限にしないといけない。本業に影響でれば評価は下がるし指導も入る。これは、別に副業にかかわらずである。だからこそ、体力でお金をかせぐものは、副業には選択できない。
でも、現実、シニアが選択するときに、高単価、省力ビジネスを選択できるのかということだ。 高単価、省力ビジネスを選択するためには、複数スキルで差別化が必要だし、そのための学習が必要。学習してお金になるまでするには、長く突き詰める必要がある。
そのためには、自分の好きなことを選択する必要があるという3点はすべてつながった話なのだ。
野水さんは、副業は、”自己防衛”のため必要だと説く。
「会社は永遠ではない、だから個人としても自己防衛が必要だし、会社としても永遠でないことを前提に社員が働いてもらう必要:会社にしがみつかない働き方をしてほしい」と述べる。
野水さんが、サイボウズに入社したときは、数十名の会社だったそうだ。離職率も高く、ブラック企業だったと。もちろん個人的にも、自宅の建設会社も経営して中小企業のある意味”もろさ”を身をもって経験しているからこそ、言える話かなと思える。
こう思っているからこそ、”副業”に真剣になれるのかも
定年制度がある以上、どんな人にとっても、副業の準備は必要と思われるが、
野水さんの例を聞いて、「複業」を経ている人は強いなとも感じた
日本の社会は、ひとつの会社で勤め上げる価値観が過去、強い社会だったと思う。
でも、野水さんの今までの人生の流れを見ていると「複業」経験していることって働く選択肢を考えたら”強いな”と思う。
多くの方は、野水さんの例にはいかないのではないか
今シニア例えば50代以上の方は、やはり”会社一筋”で、”複線”経験している人は少ないのではないか。
では、そうしたシニアはどうしたらいいのか?
やはり野水さんの副業選択の基準は重要だ
①好きなこと、長く続けられることを選択すること
②複数スキルを身に着ける
③高価値、省力ビジネスを選択する
この基準で”自分が情熱を傾けられること”を見つける心の準備をまずするということではないだろうか
やはり、自分なりの”副業”を探す、決めるにも時間はかかるということだ
自分で考えて、自分なるの”副業”を決めるタイプの方もいるだろう:自分なりの内なる声を聞く
回りの人にアドバイスも求めながら、決めていくこともあるだろう
もしくは、偶然の出会いや出来事によって決めていくこともあるだろう。
心の準備がないと、すべてが過ぎ去るだけになってしまう
準備ができていれば、偶然の出来事に対しても”新たな選択”をできるようになる。
副業を確立するためには時間がかかる。だから準備も必要なんです。
もちろん、副業を決める上でも時間はかかる”ということだ。
だからこそ、心の準備をしながら、”副業”を探すこと、が重要なのだと思う。
野水さんは、”自立というのは依存先を増やすということ”と説いていた。
新たな依存先を見つけること、そのための”心の準備”をすることが、”副業への第一歩だと思う”
参考:野水克也氏の講演例
「共働き時代のワークスタイルとは?」サイボウズ野水克也氏
「離職率28%」出発の改革 サイボウズ野水氏「人は好きな事をやるとき一番成長する」
IPAの人材白書2016の、フリーランスの働き方について調査を見て、ちょっと驚いた!
回答者属性を見ると50代以上が50.1%となっている。もちろん回答者属性なので、フリーランス人口の占める割合ではない。
調査の仕方があまりにも偏っていればだが、一応IPAの調査なので・・・まったく市場比率とはかけ離れているということはないだろう。
IT人材白書の調査側でも、おそらくこの比率にあれ?となったに違いない。このあとの文書はこう続けられている。
(全文そのまま載せちゃいます。)
中小企業庁委託「小規模事業者の事業活動の実態把握調査~フリーランス事業者調査編4」(2015年2月、
(株)日本アプライドリサーチ研究所)では、フリーランスの年代構成は、20代以下が1.1%、30代が10.9%、40代が36.3%、50代が38.3%、60代以上が13.5%であった。この調査は、「ITエンジニア」以外の職種のフリーランスも含むものであるが、今回の調査と同様の傾向となっている。
「もしかすると」現実にフリーランスの半分が50歳代以上となっているってコト!?。
正直、以外といるんだな!50代という感じ。
それでは、50歳代のITフリーランスってどんな仕事しているんだろうか。
実は白書では、仕事の内容について年齢別に表記はされていない。
30代~40代を抽出して、IT企業に勤める社員の仕事と比較している。
フリーランスは、「受託系事業」より、ウェブ関連の事業(「ウェブサービス企画、開発、運用」、「ウェブサイト構築、デザイン」)「コンサルタント他」の割合も高いようだ。
インタビューによると、20代、30代では、ウエブシステム開発、40代ではコンサルタントと年齢ごとに業務が異なっているとのこと。
50代以降もおそらくコンサルタントで働いている人が多いのでないかと推察できる。
白書では、フリーランスの年収についても調査されている。
もちろん、働く時間も異なるので、フルタイムで働く会社員と単純比較はできないのであるが、
数字を書くとこんな感じ(50代以上)
300万未満 31.2%
300~500万 29.8%
500~700万 19.7%
700~1000万 17%
1000万以上 2.3%
300万未満の層が一番多いが、単純に計算比較すると会社で働くほうが、4割程度多くなる。会社では年功が効くが、フリーランスではそうはいかない。
会社では、定年と超えて、再雇用となると、大幅に年収は低くなる。働ける期間と給与を比較したときにどうか、自分のライフプランとあわせてどうかというところが判断基準となるのではないか。
経済産業省の将来推計では、50歳以上のIT技術者の比率は、2020年には、22%、2030年には27%となる。
他の年代の技術者の比率がすべて減っていく傾向にあるのに対して、50代以降の層だけ増えていく。
シニアの活用も重要度を増す中、同様にシニア活用の難しさも指摘されている。
経済産業省の資料では、「新しい業務知識や技術への対応力が低い」、「コスト(人件費)が高い」、「生産性やパフォーマンスが低い」といった課題が上げられていた。
ITは技術の進歩や移り変わりは激しい。技術そのものでは、なかなか若いエンジニアと同じレベルになることはむつかしいだろう。
でも、対応力や理解力は必要だ。そうしないと市場ニーズについていけなくなる。
シニアは、”技術スキル”では勝てない、やはり”多くの経験”が強みだ。シニアは多くの修羅場をくぐって生き抜いてきているはずだ。
経験というと「昔はこうだったのに、今の若い者は!!」というもん切りで使うというイメージを抱くが、”経験”を、判断のポイント、考え方、全体の見極め方とかとなっていれば、若いエンジニアや、顧客の役に立ちうるのではないか
経験を他人が理解し、へぇーそんな考え方あるんですねーとか、なるほど!とか共感を得られるように高めれば、それはその人が持つ”固有スキル”になるのはないか。経験こそが、シニアが差別化できる、ユニークにできる要素ではないかと思えるのだ。
シニアにこれから求められるのは、実は”自分のスキル”の棚卸ではなく、”自分の経験・修羅場”の棚卸とそれを誰にでも訴求できるようにすることなのではないか。
参考文献:
IPA 人材白書2016
経済産業省 IT ベンチャー等によるイノベーション促進のための人材育成・確保モデル事業
働き方改革の残業規制の上限議論が固まってきました。
労働時間の抑制とともに、働き方改革の目玉として、働き方の多様化への対応として副業の解禁があげられています。
政府は働き方改革の一環として、企業で働く社員の兼業・副業を普及拡大するためのガイドラインを作成する方針で、ガイドラインによって企業に柔軟で多様な働き方を促す狙いがあるようです。
現在、副業を許可しているのは、大手では少ない。
副業許可は、サイボウズ、リクルートキャリア、ヤフー等々若い企業、ベンチャー企業がメインです。
昨年、大手では、ロート製薬で、副業を解禁しています。
こうした若手企業が、副業許可する理由は、多様な働き方を許容することによって、
より優秀な人材を確保したい、(もちろん外で自分を磨いて、会社でも才能を発揮してほしいという希望があるにせよ)人材募集していくための「差別化」であり、企業ブランドを高めていくために積極的に導入しているように思えます。
そう!「副業許可」のメッセージは、あくまでも若者・採用者向けになされているです。
今はひとつの会社で勤めあげるという生き方は(いまだにメインだとしても)絶対的でなくなっています。
ちなみに、年齢別離職率を平成16年と平成27年で比較してみました。若い世代ほど離職率はこの10年間で増加している。
20~24 | ~29 | ~34 | ~39 | ~44 | ~49 | ~54 | ~59 | ~64 | ~69 | |
平成16年 | 18.0 | 13.1 | 9.5 | 6.8 | 6.7 | 5.5 | 6.7 | 7.0 | 12.3 | 4.5 |
平成27年 | 24.9 | 16.8 | 11.5 | 8.0 | 7.5 | 5.9 | 7.3 | 7.5 | 14.1 | 10.1 |
そのために、働き方の多様化への企業のメッセージが採用の場においてもメリットとして伝わりやすいのではないでしょうか。
若者向き、採用向きの「副業許可」。でも副業許可が一番必要なのは、シニア世代ではないかと考えています。
会社の定年は60歳、運よく65歳まで会社に残れたとしても、あと5年、10年自力で働いていかないといけない
社会になりつつあります。
会社で新人がOJTで成長していくように、退社して自力で生活していくためには、準備が必要になります。
会社にいる頃から副業を通して、自分のスキルが市場で生きるようにしていく。それが安定的な長寿化社会の実現には必要なのではないでしょうか。
自分の会社でのスキルを外から眺め、外で試すことによって、自分のスキルアップにつながるでしょうし、そのスキルを会社の中でイノベータとしていかすこともできてくるでしょう。もちろん自立のイメージもで来てきます。
来る5年後、10年後の自立のために、働くことの選択肢を増やしてあげることが必要なのではないでしょうか。
もちろん、働くことだけではなく、NPOに所属して、ボランティアでもいいでしょうし、
セカンドライフのオプションを経験・準備を通してシミュレーションしていく仕組みがあればいいのではと思います。
定年後の雇用延長社員や定年前、役職定年者に、会社は2、3日勤務とともに、副業・兼業の選択を許可していく。
そんな制度がつくれるのではないでしょうか。副業が必要なのは、実は、シニア世代・定年まじかの世代なのです。
採用のために、副業許可して、優秀な人材をひきつける。会社にとって取り組む意味はわかりやすい。
では、会社をリタイアする人のために、そんなオプションを作ってあげる必要があるのでしょうか。
それは、企業OB/OGが社会で活躍することによって、企業価値を高めることに貢献できるではないかと
思います。
例えば、リクルート、ここには元リクルートで現在、社会で活躍している人材が多数います。
(USEN 宇野康秀さん、リンクアンドモチベーションの小笹芳央さん、元トレンダーズの経沢香保子さんとか、
私の知り合いの元リクは現在、ブルーのラリーバードマークの会社で社長をなさっています。)
リクルートは30代、40代で活躍している会社ですが、同様にOB/OGが社会的に活躍し、元〇〇はすごいとなれば、その作り出す企業価値は大きいはずでは。
もちろん、こうしたサポートをうけたOB/OGは退職後も会社のサポータとして、株主にもなってくれたり、
製品モニターにもなってくれる可能性も高くなるでしょう。
定年後に、社員が社会で活躍してもらうこと。それは大いに企業にもメリットがあるのです。
シニアにこそ、副業許可をしていくべきなのではないでしょうか。
参考文献
プレジデントオンライン:山口俊一「兼業・副業」はシニア社員と役職定年者から始まる
厚生労働省:雇用動向調査(平成16年度版と平成27年度版)
毎日新聞:働き方改革 兼業・副業の指針作成へ…政府
先日、セミナーで、伝える力の講演を聞いた。
この年になって、話すこと、聞くことにあえて意識してくることはなかったので、
ちょっと話を聞いて、なるほどね、目からうろこと思い、今回はブログに。
野菜ソムリエ。現在では名前もメジャーになった。2002年に長谷川理恵が資格取得してその後も芸能人が次々取得。この資格とるのに、最低でも15万円ほどかかるのであるが、現在では、会員数は58000人を超える。
「野菜をもっととる」という”情報”の観点で言えば野菜ソムリエと管理栄養士は似たようなもんだろう。
しかし、「伝え方」の観点からは大分異なるようだ。
野菜ソムリエの講座の講座は、「ベジフルコミュニケーション」の講座で始まる。
知識ではなく、「コミュニケーション」から入るのだ。
管理栄養士が、「食べ過ぎですね、もっと野菜をとってください、もっと運動してください」等、情報の伝達を(どちらかというとネガティブな指導)をメインにおいているのに対して、野菜ソムリエは、感動を伝えることを重点に置いている。
先ほどのコミュニケーション講座も”野菜の魅力や感動を正しく説明できる力、立ち居振る舞いや、目線の動きなど理論的なコミュニケーションを習得する”ために行っているのだ。
制服も決まっており、白いシャツに黒のエプロン、赤いチーフとなっており、情報よりも、生き様、情熱、感動を伝える、まさに「伝え方」をかなり重視しているのだ。
野菜を食べる方としても、ビタミン要素で教えられるより、野菜のおいしさとか、みずみずしさとか”野菜をとる楽しさ”と一緒に伝えてもらったほうが、採りたい!と思いますね。
野菜ソムリエ制度の創立者は、有機農法の提携運動が社会的にいくら正しいことを訴えても広がらないのを見て、伝え方や、皆が一歩踏み出しやすい環境を作る方法を考えたそうです。
ついつい、情報や理論を伝えることに集中してしまう、精緻な理論は重要ですが、それだけでは、いいねはもらえても参画まではハードルが高いですよね。
これは2014年のNHKのクローズアップ現代で放送されたもので、ハーバード大学のマーシャル・ガンツ博士の理論。
マーシャル・ガンツ博士は元は社会運動家で、オバマ前大統領の選挙参謀としても活躍、社会運動を広げていくために伝え方として「セルフ・アス・ナウ」という伝え方を提唱しています。
運動を広げるためには、人の心に火をつける物語が必要で、そのための3つの要素。
セルフ:自分の物語→なぜこの活動をしているのか
アス:私たちの物語→価値観を相手と共有する
ナウ:今の物語→なぜ今しないといけないのか
こうしたストーリをもとに、価値観を感情へと高め、行動(コミットメント)につなげなさいと述べています。
野菜ソムリエとセルフ・アス・ナウともに、伝え方の重要な要素は”感動を伝えられるか”という点。
改めて、「伝え方」というものを考えてみたいと思います。
参考文献
「野菜ソムリエという人を育てる仕事」 福井栄治 幻冬舎文庫
NHKクローズアップ現代 http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3448/1.html
働き方改革が、結局残業時間MAX100時間認める認めないにすり替わっているようだ。(yahooニュースより)
これでは、今までと何が変わるのか、これは改革と呼べるのでしょうか?
だいたい、こういうお題目は、最初は崇高な理想や目標を掲げるんだけど、進めて行くに従い、矮小化されたり、目的と手段が変わってしまう、あげくのはてには忘れ去られるということがよくあるので、そもそもの「働き方改革」の目的とは何だったのか思い出して見ます。
働き方改革は、「一億総活躍プラン」の中で立ち上げられた政策で首相官邸のHPには下記のように
記載されています。
“一億総活躍プランとは、我が国の構造的な問題である少子高齢化に真正面から挑み、
「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の
「新・三本の矢」を実現するための取り組みプラン”。
働き方改革は、「一応活躍プラン」の実現に向けて横断的な課題として位置付けられているのです。
多様な働き方が可能となるよう、社会の発想や制度を大きく転換しなければならない。そのための実現ポイントは
(1)同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善
(2)長時間労働の是正
(3)高齢者の就労促進
となっています。
少子高齢化を迎えた日本が経済成長を持続させていくためのプランでそのために「働き方改革」という
制度変更をしていかないという話の流れです。
(2)の長時間労働については、
“長時間労働は、仕事と子育てなどの家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因や、
女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参画を阻む原因となっている”
”長時間労働の是正は、労働の質を高めることにより、多様なライフスタイルを可能にし、
ひいては生産性の向上につながる。”と述べています。
ちょっと単純図式化すると(粗くてすいませんが)
少子高齢化による経済縮小化を防ぐ→働き手(活躍する人)の人口増と出生率の向上を図る。→仕事と子育てが両立可能なライフスタイルへ→長時間労働の是正という流れになるのかと思います。
(働き方改革の目的は生産性向上かと思いましたが、改革の結果・効果と位置付けられているようです。)
現状の労基法上は、週40H勤務で、皆さんご存知のとおり、36協定を結べば、残業時間の延長をすることができます。
とは言っても36協定でも残業時間の制限はあり、週15時間、週45時間、年間360時間までとなっています。
但し、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない事情が発生すると予想される場合に特別条項付き36協定を結ぶことができ、さらに上限を超えることができるということになります。
(私の昔いた会社は上限360時間は超えていたので特別条項付き36協定だったことを今理解。)
今回政府が決着させようとしている月60時間、特別な場合は月100時間という数字を36協定の上限決めただけ
ということになってしまっています。この数字であれば、ほとんどの企業は、順守できるのではないかと思います。
長時間労働是正の目的は、女性の活躍進出を後押しする、夫婦で家庭を分担することにより、少子化にもはどめをかけるということですから、今回の内容では、後押しする政策に全くなっていませんし、政策的にも経済的にも全くインパクトを感じません。
少子高齢化が進む中、女性や高齢者含めて、経済成長に参画し、その経済成長享受していくことが、
日本の将来のひとつの方策でしょう。そのためには、雇用形態の多様性が必要だと思います。
(もちろん雇用の多様性ですべて解決できるわけでもなく、待機児童の解消の問題もあるでしょうが)
その多様性を阻むハードルを下げるために、長時間労働の是正というテーマがあったのに、非常に残念な結果です。
この制度は雇用の多様性の担保となる重要な政策です。
現状日本では、正社員と非正社員の給与の差は、100対65、ヨーロッパでは75~82程度、アメリカはなんと30(正社員の3分の1しかもらえていません)となっています。
この比率が狭まれば、正規、非正規の区別は要らなくなるかもしれません。
仕事の選択としてもそれこそ多様な形態で働くことが可能になるでしょう。
もちろん年齢も関係なくなるので、現状働いている人にとっては影響が大きいのも事実です。
(EUでは、雇用差別の禁止として、男女や雇用形態含めた同一(価値)労働同一賃金が定められているようです。)
同一労働同一賃金は実現にさらにハードルが高いとなると、どう紆余曲折していくのか、プラン上には「などによる実現」と記載しているし、今後どう進んでいくのか注目していきたい。
同一労働・同一賃金や、長時間労働の是正は、多様な雇用形態を実現していくためのベースとなる施策。
是非長期政権だからこそ、今後10年、20年の日本の成長力を担保できるような政策を検討・実現してほしいと思います。
参考文献
首相官邸HP 「一億総活躍プラン」
独立行政法人経済産業研究所 パート賃金格差 何が問題か
国立国会図書館 欧州に見る同一労働同一賃金