• 03-6869ー4694
  • info@market-interface.co.jp

ブレインソーシング

リスキリング・アンラーン:過去の経験は?

リスキリングとアンラーン

最近、リスキリングだったり、アンラーニングという言葉が今もてはやされている。
新しいスキル、知らない領域の知識などを学ぶ「リスキリング」、
学ぶにあたり今までの知識や、考え方を捨てることを「アンラーン」と
言うらしいが、この2つの言葉、表裏一体のような気がする。
どちらも、「学びなおし」という意味合いで使われ、学ぶことに重点をおいているのか過去を棄却することに重点を置いているのかの違いのようにも思える。

今なぜこうした言葉が頻繁に出てくると言えば、コロナによる生活様式の変化で、
新しい様式・ツールに多くの人が否応なく対応せざるを得ない状況となり、かつ、
国の成長戦略のひとつとして位置づけられているからだ。

長く様々なプロジェクトを渡り歩いている人はすでにアンラーンして来ている

私の仕事柄、多くのベテランエンジニアも方と面談を過去してきたが、
自分の知識・経験の枠内でしか話されない方や、過去の失敗を活かしきれない方がいらっしゃる中で、
様々なプロジェクトを長期に続けられている方というのは、すでにアンラーンしながら、現場に上手く適応されているのではないかと思う。
新しい顧客・新しいプロジェクトになれば、開発言語が同じであっても、開発ツールも変われば、ルールも環境も人も異なる。例えば新しい構成管理ツールを目の前にして、手を出さず「昔のツールの方がはるかに使いやすかった」と愚痴っているだけならプロジェクトに貢献することはできないだろう。
長くプロジェクトを続けられる人は新しいツールでも抵抗なく自分の仕事のプロセスに組み込んで
プロジェクトに溶け込んでしまう。

過去の経験・視点だけで見ると新しいものは正確に見えないことも

また以前、面談していて、ベテランCOBOLエンジニアの方から、「所詮COBOLもJavaも同じでしょ。本見ればJava書けるよ」と言われたことが数回ある。本人は、自ら止の可能性を宣伝したかったのだろうが、知っている人からすると「根本的な違い」を理解しているのか?「中身知らないで行っているな」と感じてしまう。
今まで経験してきた手続き型言語の視点で他の言語を見ると、所詮ロジックは条件節とループがメインだし、違いは無いと本人は感じてしまうようだ。
どうしても、自分の経験してきた尺度で物事を見・判断してしまうと、「どうせこんなもんだろう」と固定化して、ただの「知ったかぶり」で思考が止まってしまう。

ベテランの強みは経験だけど

でもベテランの優位点はやはり経験の多さ・長さだろう。いろいろな種類・場面の経験、成功も失敗も
含めてもっていることが強みである。これを全部捨てたら(アンラーンしたら)何も無くなってしまうのではないか。
一方でシニアは頭が固いとも言われる。「固い」とはどういうことかと言うと、行動や考え方を固定化してしまうことだ。なぜ固定化してしまうのかというと、頭にとってそのほうが情報処理上「楽」だからではないかと思う。新たな情報もいままでどおり処理すればいい。だから簡単だ。アンラーンしないといけないのは、この「固定化」なのではないか。

経験を活かしながら上手くアンラーンするには

豊富な経験は、ベテランエンジニアにとって大きな差別化要素だけれども、あくまでも差別化の
一つでしかない。経験に囚われるすぎると、自分が逆に囚われてしまう。
アンラーンとは経験を全て捨てるということではなく、ある意味過去経験をどう位置付けるのかと
いうこととも言い換えられないか。

以前運用保守の仕事をある方にご紹介したときに、「過去に構成管理の失敗経験があるので、構成管理は他の方にお願いできませんか」と頼まれたことがある。失敗経験を「君子危うきに近寄らず」で失敗=地雷として自分の仕事範囲を絞る例だ。失敗は誰にでもあるし、今時失敗を経験していることが貴重な経験のひとつとなる。こうした経験をより良く仕事をしていくために活かさないと、経験の意味・価値がないとも思う。失敗したという経験ではなく、何が失敗を生んだのかという経験の見直し・分解が必要な場合もあるだろう。

過去の経験は、新しいことを学ぶ上でのひとつの視点にも

また新しいことを学ぶ上で、過去の経験は、比較しながら習得できる視点にもなりうるかも知れない。
JavaはCOBOLと何が違うんだ、なぜJavaは広がり、COBOLは少なくなったのかという視点を持ちながら学ぶと、より全体像を把握しやすいかも知れないし、逆に比較してみて、まったく比較対象にならないのであれば、それこそ過去の知識を敢えて棄却してまっさらな気持ちで学べば良い。

アンラーン:過去の経験・知識に囚われない

アンラーンの要諦は、過去の経験に囚われるなという事ではないか。
新しい環境に対応して長く活躍していくためには、アンラーンが必要な場面が今後も多く出てくると思う。その時に、いままで自分が経験してきたこと、蓄積してきた事をどう位置付けて(視点のひとつとするのか、抽出して一部を活かすのか、それとも棄却するのか)、新しいことに臨むのかが今後の変化に対応していくために重要な姿勢ということではないだろうか。

アフターコロナの案件状況は(PART-Ⅱ)


前回2021年度の案件状況を2020年度と比較し、件数として回復傾向にあること、その中でJava案件の
延びが大きいことが解りました。(前回ブログ)今回は、2021年度のCOBOL案件や、インフラ・基盤、PMO案件の傾向をまとめてみたいと思います。なお、毎度のことですが、あくまでも弊社に来る案件を基にまとめたものであり、規模的には小さいので、一つの例、状態としてこんなことが起きていると見て頂ければ幸いです。

1.COBOL案件状況:年齢条件としてはあまり変わってきていないが・・


COBOL案件の年齢条件の変化を分類してみました。2019年から2022年1月~3月期を比較してみると、
年齢割合は大きくは変化していないように見えます。年齢条件記載無し案件の比率は増えてはいますが、30代40代+年齢記載なしと50代~65才までの案件数割合は、少しづつ50代以降の比率が少なくなってきており、コロナを乗り越えた後に、年齢制限が大きく緩和される状況になるということは現状なさそうです。
やはりこうした制限を超えていくには、スキル、経験が特殊(アセンブラ、特殊言語)であったり、
深さ(例えばOS系やツール系のスキル、業務・上流系)、過去従事プロジェクトの長さ等が重視されてくると思われます。

2.インフラ・基盤案件の傾向・・・AWSが6割


弊社に来る件数の2割を占めるのが基盤系の案件。件数も年々延びているので、その中でクラウド指定がどれほどあるのか調べてみると、AWSが55%、Azureが25%、GCPの割合となってきています。
OSで見るとLinuxが7割、Windowsが3割という比率となっています。


クラウド別OSで見ると、AWSではLinuxが8割の比率となっているのに対して、逆にAzureでは7割がWindowsとなり提供元の特徴が顕著に出ている結果となりました。
やはりクラウドを選択する際においてもOffice365等MS製品の親和性を優先しているのかも知れません。今後インフラ基盤技術でアピール目指す方は、LinuxメインであればAWSのサービス、WindowsであればAzureのサービススキルを身に着けると、よりスキルアピール度が高くなると言えるかも知れません。

3.PMOに求められる役割とは・・業務スキル、基盤スキルのプラスαが必要な案件が9割近い


PMO案件についても1割強を占めるので、どのような役割が求められるか分類してみました。年齢を重ね、開発現場から管理をメインでされていた方は、PMOでの案件要望となりますが、PMOに求められる役割も非常に幅が広い。PMのお手伝いで議事録書き等から、基盤や開発の支援、その上流をつかさどるもの、コンサル的に立ち回るものまで、求められるスキルもかなり多様です。
そこで、PMOとしてどんなスキルが求められているかを調べてみましたた。
2021年の案件を見ると工程管理、進捗管理、品質管理、ファシリテーション等の分野は、1割強。顧客の業務や、プロセスフロー等業務系が求められているPMO案件が社員代替も含めて5割を占めています。その他、開発技術(例:ソースレビューや、フレームワーク技術)や基盤技術(例:クラウド技術)等自らは”手を動かさない”けれども技術的支援を担う案件も3割強あり、PMOとしてのみ専門で来た方より、今まで設計や開発、基盤構築等を経験した方がPMOとしてプロジェクトを引っ張って行く、そんなPMOが今求められていると言えます。

以上2021年度の案件を分析して来ました。コロナで一時期大きく案件件数の変動はありましたが、コロナを経て大きなトレンドに変更はないまま、件数的にはコロナ前に戻って来た状況にあるようです。また定期的に件数変動等分析していきたいと思います。


#シニア #仕事 #エンジニア #システム #COBOL #コロナ #クラウド #基盤 #インフラ #PMO #AWS #Azure #Linux #Windows

アフターコロナのシステム案件状況は・・2021年度と2020年度を比較してみた

要約
・案件は回復基調である。
・案件種別での構成比は大きな変化は認められない
・月別にみるとJavaの案件の延びは大きくなっている

コロナによる制限が解除され、少しづつ街中に人が戻り、通勤電車もすこしづつ混み始めている。
前々回(2020年5月)のブログにて、2020年の案件状況について
「3月,4月,5月と案件件数が落ちてきて5月は1月の6割ベースの件数となり厳しい状況である」と記載した。それから1年経過し、コロナが収束しつつある今の案件状況はどうなっているのか、見てみたい。

いつもどおり、これから述べる案件状況は、あくまでも弊社に来る案件を基にまとめたものであり、
規模的には小さいので、一つの例、状態としてこんなことが起きていると見て頂ければ幸いである。

1.全体案件の状況・・・件数は回復基調。今後も延びていくのでは

月別案件数の推移を見てみる。2020年4月の案件数=1として、2020年度と2021年度を比較すると
2021年度は全体で3割ほど増えてきている。
さらに年度後半に向かって延びが拡大していく傾向である。
案件数は、厳しい状況を少しづつ脱してきて、拡大基調にあるように見える。

2.案件の構成比変化・・・大きな変化は見られない。

案件数は拡大基調として、案件種別の変化はあるのだろうか。構成比を比較してみた。
年度ごとに比較すると、大きな変化は見られないようだ。
Javaが3割、インフラ・基盤が2割弱、PMO等が1割、js,C#,Python,スマホ開発と続いている。
それぞれ少しづつ年度間での変動はあるが1~2%の範囲にとどまっている。
DX,AI等新たなテーマが出てきているが、案件の構成比を大幅に変更を与えるほどの
インパクトはまだ出ていないようだ。
(もしかしたらこの傾向は、お取引させて頂いている会社様の担当分野に依るところが大きいのかも。)

3.種別ごとの案件数月別変化は?・・・・やはりJavaは延びが大きい。

構成比を年平均すると変化はないが、月別での延びはどうなのだろうか。
案件の延びと規模を表現するために2021年4月のJava件数=1として、
各種別の月別案件変化率を見てみた。
各種2022年3月に向けて延ばしているが、やはりJavaが大きく延ばしているように見える。
構成比が一番高いJavaの案件がいち早く復活基調にあるのかも知れない。

今回は、コロナの収束を迎えて今、システム案件の状況がどのようになっているのかを分析してみた。
次回は、COBOL案件の状況や、インフラ、PMO等の2021年度傾向を調べてみたい。

コロナによる人材ニーズの影響とアフターコロナを生き抜くために(PART-Ⅱ)

コロナが起きてすでに10ヶ月以上過ぎ、状況は持ち直す暇を与えず、年末を迎えてさらに第3波が来ている。
どこまでこの影響に引きずられるのであろうか。一体元に戻るのはいつになることなのだろうか。
現在の案件状況がどうなっているのか現状でも聞かれることが多いので、10月末時点での案件状況をまとめてみた。

いつもどおり、これから述べる案件の状況は、あくまでも弊社に来る案件をもとにまとめたものであり、
規模的には小さいので、一つの例、状態としてこんなことが起きていると見て頂ければ幸いである。
また、前回のブログ「コロナによる人材ニーズの影響とアフターコロナを生き抜くために」のつづきとして
前回は2020年1月~5月までの推移を記載したので、また半年過ぎてどう変わったのか述べてみたいと思う。

1.全体案件数と傾向・・・件数としては回復傾向

全体の案件件数を今年1月時点から推移を見てみると、5月に7割弱まで落ち込んだものの現状は回復して来ており、
全体件数としては、1月の案件件数を超えてきている。
ただ言語別にみると、回復の仕方に強弱が見られる。Javaやインフラ・基盤、Python等の案件数は、回復し、かつ
延ばしているが、COBOLや、VBといった言語はまだ6割程度の戻りだ。
言語で分類するとやはりレガシィ系の案件数は
抑制されたままだと言える。
なお、グラフは2020年1月のそれぞれの案件数を1とした場合の推移で、案件数の規模(数)は表現されていない。
実際の案件の構成はJAVAが圧倒的に多く40%、基盤25%、スマホ、Python等その他オープン言語で30%、
レガシィ系は5%弱だ。
(グラフ上で上下変動が大きい言語は、件数が少ないため揺れ幅が大きく出がちとお考え下さい。)

2.COBOL案件はどうなっているのか・・・・年齢シフトが急激に進行

弊社で担当数が多いCOBOLは、数字上は6割程度戻って来ているが、肌感覚的には全然戻って来ていない、
それは、同時に年齢シフトが起きているからだ。

グラフで見てみよう。

30代、40代の案件が昨年同時期に比べて昨年10月は3割だったものが現状6割を占める形になってきている。
また年齢指定なし案件が10%切ってきており、ほぼ
すべての案件で年齢条件が付くようになってきている。
(年齢指定なし案件は案件情報上年齢条件が載っていないだけで、
年齢不問ということではないが、
多くの会社、今まで特に年齢条件記載しなかった会社や案件で年齢条件が付いてきていると
いうことだ。)
年齢条件がコロナ前と比べ10歳、15歳ぐらい若くなりかつ条件が厳しくなった感がある。

これは少ない案件に多くの希望者が殺到して、選考上条件が厳しく(せざるおえない?)なってきているということだろう。
私の想定は、もっとゆっくり年齢シフトが起きると想像していたが、コロナで急激にシフトが起きてしまった。
COBOLを主戦場として来た世代からすると本当に厳しい状況が続いている。

3.年齢条件を超えるために・・・今を大切に

こんな中で、年齢を超えて応募できる案件はどんなものなのか?
年齢不問の案件を調べてみると、COBOLのスキルだけでなく、同一業務の経験や上流設計経験(業務スキル)や
アセンブラといった特殊言語スキル、システム関連スキル等、COBOL+αが求められている。

今までのように工程を細かく分割し、詳細設計以降の経験で仕事を探しても現状では非常に難しい。
案件の量があった時代なら
ともかく、量がない現状で詳細設計以降のコーダのみでは競争が厳しく、
若手に仕事がいってしまう。

逆に+αがあって、Performanceが高ければ、現状でも65歳以上の方でも呼ばれて従事されている方もいる。

多分、今までは案件が豊富にあったので、現在従事している仕事が合わなくても「次があるだろう」的な
感覚になっている場合も
あるだろうが、現状では、パフォーマンスを出して、顧客から呼ばれるエンジニアに
ならないと市況を超えて続けることは難しい。

従事している今の現場を大切にして初めて次があるのかも知れない。

COBOL等レガシィ言語については今だ厳しい状況が続いているが、案件はタイミングなので、
自分の強みを見つけて、それに合った案件にアプローチしていけば先に光は見えるかも知れない。

コロナによる人材ニーズの影響とアフターコロナを生き抜くために

4月に始まった国の緊急事態制限も解除され、「あたらしい生活様式」のもと、段階的にすこしづつ緩和され始めていく状況にある。では、今回コロナでシステム案件に実際どのような影響が出ているのか具体的に調べてみた。(なお、下記案件の状況は、弊社に来る案件をもとにまとめたもので規模的には小さいので、一つの例、状態としてこんなことが起きていると見て頂ければ幸いである。)

1.全体案件の状況・・・全体の6割の件数に減少、ただ言語によりバラツキが。
まず全体の案件数の状況である。
上のグラフは、今年の1月~5月までの案件の推移を昨年と比較してみたものである。(5月は20日時点数値での推定値)
昨年は5月に向けて案件件数がすこしづつ上がっているが、今年は3月,4月,5月と落ちてきて5月は1月の6割ベースの件数となっている。
コロナで先が見えない中で、新規募集を止めているプロジェクトもあるだろう。
またプロジェクト開発そのものをリモート化しないといけないといった新たな作業が増えて、増員するどころではなかったのかも知れない。全体として新規募集案件が落ち込んでいることは確かだ。
言語別にみると・・・全体で6割減でも、COBOL、VBは大幅減、スマホ開発は微増に

 

こうして全体件数が6割と縮小する中で、案件を言語別に分解してみると、COBOLやVBは3割ぐらいに落ちている状況である。一方スマホ系は件数は微増の状態である。あくまでも言語の分類上であるが、どのような開発が”重要”と位置付けられているのか示しているようにも思える。
2.COBOL案件での条件推移
弊社は主に中高年のベテランエンジニアをベースに事業を展開しており、レガシィ系の開発がメインである。
そのため、COBOLについて案件動向をさらに調べてみた。(案件数が激減している時点でかなりの影響が出ているが・・・)
下図は、年齢条件の推移である。
・3月以降年齢記載のない案件比率が半減(3割→1.5割)
40代までの対象が3割→5割強に増えたのに対し 55代後半以降可な案件は5月に至っては5%しかない。
 (今までは15%ぐらいは50代後半~60代まで可であった。)
件数が少なくなる中で、年齢条件が非常に厳しくなっている。今までCOBOL案件ではあまり見られなかった30代までの制限付きの案件もちらほら見かけるようにもなった。件数も3割と少なくなったうえに、年齢条件も厳しい、ベテランエンジニアには厳しい時期となっている。
3.コロナ終息で元にもどるのか
3月~5月の案件推移を今まで見てきたが、緊急事態宣言が解除され問題は、これからコロナの終息に向けて元の状況に戻るかということだ。
6月に入ると在宅勤務解除というところも出てくるだろうし、新規営業も始まりつつある。
すこしづつ回復してくるであろうが、求められる条件が元にもどるには、もうすこし時間がかかるのではないかとみている。
コロナによる企業決算への影響は昨年より今年が厳しくなってくる企業のほうが多いだろう。
そのため今後プロジェクトの見直しや縮小が出てくる可能性が高い。
現に弊社のメンバが参画しているプロジェクトも縮小となり、契約終了という案件も出てきている。
企業活動がすこしづつもとに戻っていく中で、顧客企業の今年の収益の変動見通しによってプロジェクトの継続が左右されるということが今後多く出てくるのではないかとみている。
4.アフターコロナを生き抜くために・今まで通用したスキルセットだけでは厳しい場合も
こうした状況でも生き抜く方法はないのだろうか。
少ない案件の中で生き残っていくためには、やはり少しでも高いスキル、差別スキルをもっていることが必要かも知れない。
エンジニアの方と面談すると、話せば話すほど、お持ちのスキルが縮小均衡に至ることが多い。奥ゆかしくていい方なのだろうが、自分のスキルの一番小さい部分(例えばCOBOLの詳細設計~なら大丈夫とか。)のみでお仕事を探しても、縮小市場では難しいのではないだろうか。詳細設計以降ならとおっしゃる方は本当に非常に多いので、何かプラスαがないと提案突破には難しい状況になる。今までのスキルセットだけで同じように攻めても難しくなってきているのが現状だ。
もちろん、過去経験していないことをしたことにすることはできないが、どこまで自分の技術領域(業務スキルも含めて)の幅を広げられるか、少しのジャンプ力が必要かなと思う。せめて、業務要件、上流設計、基本設計は可能なぐらいのスキル提示はこれからの時代は必要かと思える。
私が面談する方の多くは長くシステム開発を経験しているので、必ず経験した業務、ツールやパッケージのようなプラスαがあるはずだ。少しでもそうしたものを掘り起こして”自信をもって提示できる”(これが一番難しいのであるが)スキルを見つけることが可能性を上げる一歩ではないかと思う。

ベテランエンジニアはPMOとして活躍できるのか

ミドル・シニアエンジニアのスキルを活かす選択肢のひとつとして多くの人が考えているのはPMOといった役割ではないでしょうか。PG、SE、PL、PMとエンジニアとしての役割が管理・調整へと経験・年齢を重ねるごとにポジションが変わっていき、管理がメインとなったベテランがPMOとしてそのスキル活かせないかと考えるのはごく自然だと思います。
現場でバリバリ開発は難しいし、新しい技術への適応は自信ない。でも多くの経験を活かしながら、PMOとして若い人たちが苦労しているプロジェクトを支援し役に立てるのではないか。多くのシニアのエンジニアがそう考えていると思います。多分プロジェクトも、自分のスキルニーズを求めているのではないかと。
私もミドル・シニアのエンジニアの紹介事業をし始めた当初はそう思っていました。
PMO案件の年齢ハードル
しかしながら、これはシニア側からの見方で、現実の案件状況はすこし違っているようです。
PMO案件にも年齢ハードルがかなりあります。
もちろん、PMOといっても、役割はピンキリです。議事録作成だけのもあれば、ベンダーコントロールや顧客社員の役割としてPMとしての動きを求められている案件もあります。
すべて一緒くたにして調べるのもどうかと思いますが、案件量が限られていますので今回、弊社に来ているPMO案件で、どういう年齢制限がついているのか調べてみました。
対象:弊社に来ているPMO案件(2018年11月~2019年10月)全体として900件強です。
調査方法:案件についている年齢制限を年代別に分類しました。
30代は、30代までの他、それ未満の制限のもの(20代まで)や若手希望といったものも含まれています。
集計を見ると、6割以上は、40代まで、55歳までで含めると、76%にまでなります。
55歳以上、60歳以上も提案OKという案件は全体の6%しかありません。
(もちろん年齢制限あっても、誤差範囲であれば、提案できる案件があるかと思いますが、年齢高い分を超えるプラスαのスキルが必要になってくると考えたほうがいいでしょう。)
昨年の11月からの推移を見ても、山谷あれど、1年通して同じような傾向のように見えます。しかもCOBOL案件より狭い。
(COBOLは約10%)
55歳を超えたエンジニアにとって、PMOとしてプロジェクト支援したいという気持ちの広さほどには窓口が開かれていないのが現状のようです
どうしてPMOに年齢制限が付くのか
PMは若手なんだから、経験豊富なPMOが支援していく。これこそ理想的な姿に見えるのだが、なぜ年齢制限がつくのでしょうか?
(PMOは、本来的には組織内でプロジェクトを横断的に見る組織のことを指すが、)
ほとんどの案件は、プロジェクト内でPM補佐、ないしは支援をする内容となります。作業内容もプロジェクトにかかわる種々雑多な作業を手伝ってPMの負荷を下げたり、代替する役割となります。
PMOの求められる役割としては、過去経験をもとにアドバイスをしてくれることではなく、PMと一緒にプロジェクトを担ってほしいということなのかと思います。
PMが30代だとすると、60歳のPMOに仕事を依頼するのは心理的ハードルが高い。(と考える人が多い)
必然的にPMと同世代のPMOということになってくるということです。
PMOに求められるのは、まずはPMの手足になれるかということ。そこにさらに経験が付いていれば良しの順位づけなのかも知れません。
シニアOKのPMO案件に求められるもの
逆に55歳以上でもOKなPMO案件で求められているスキルはなんでしょうか。求められるスキルはひとつではないでしょうが、プロジェクトごとの重要度を見て振り分けしてみました。
ここには50代後半、60代、年齢記載ないものを含めています。
調べてみると業務スキル、技術スキル条件がついているものが6割となります。
PMOとして調整業務とか進捗管理とかのスキルは当然のこととして顧客業務やプロジェクト技術等+αが合わないとPMOとして参加できないのが現実です。
あなたのPMOスキルを知っている人が一番の顧客になりうる
そんな技術スキルあれば、技術で売っています、と言われる方もいらっしゃると思います。
多くのプロジェクトで経験を積んでいるし、調整能力にも若い人とも上手くやれるという自信がある方は
自分のスキルをよく知っている人を通してPMOに入る方法もあるでしょう。
正攻法で臨めば、スキルや経験ベースでの競争になります。どう調整能力をアピールしてもプロジェクト固有の経験となり、新しいプロジェクトに適用できるものが何かを語らないといけなくなります。それは現実には難しいでしょう。資格もその一つになりえますが、経験には勝りません。
競争を避けるにはPMOとして役に立つだろうと思われているリレーション・コネクションを多く持ち、プロジェクトに呼んでもらう必要があるということではないでしょうか。
PMO案件・人数規模は開発案件と比較して少ない。
PMOは開発者ニーズに比較して求められる案件・人数は少なくなります。例えば100名開発者が必要なプロジェクトにPMOは何人必要でしょうか。
PMOもまずは社内から充当していくでしょう。(自社にスキルがない、専門家がない、人がいない(いなくなった)トラブっている等々)の条件がないと案件化しないでしょう。
その少ないPMOの案件をメインターゲットで仕事を得るには、スキルに+αが必要だと思います。
決して、消去法(技術がないからとかアプリできないから)でPMOを選択すべき状況ではないと思います。
あくまでもエンジニアのスキルのひとつとしてPMOスキルがあるぐらいで臨んでいかないと難しいのではないでしょうか。
ベテランエンジニアはPMOとして活躍できないのか
私は今でもベテランエンジニアがプロジェクトに入れば、現実的にプロジェクトの役に立てると思っています。
しかしながら、現状はウエルカムの状況にはなっていません。
55歳以上のエンジニアが増えている今、PMOとして活躍できないか考えられているエンジニアも多いはずです。
是非、PMOを考える際にPMOとしてのそのもの経験だけではなく、どんな技術や、業務バックグラウンド等があり、PMOとして何を差別化できるのか深堀したり、PMOとしての自分の能力を高く評価してくれそうな関係先はないか洗い出しながら選択していってほしいと思います。