私の仕事は、55歳を超えたITエンジニアにプロジェクト案件を紹介していく仕事だ。この間いろいろなシニアの方とお会いすると、個々の方の案件の選択基準というのがかなり違っていることに気づかされる。
シニアのITエンジニアを対象とはしていても、世代ひとくくりではとらえられない。
50代、60代、前半、後半とそれぞれの年代によっても分けられるし、今までの働き方をしてきたかにもよる。
個々人が今まで積み上げてきたもの、背負っているもの、働く必要性やモチベーションにもかかわる。
案件が決まるためにはこうした働く側の選択基準に案件の要求事項と合って初めて可となる。
シニアなんだから、「自由に!」と行ければかっこがいいが、歳をとれば逆に背負うもの、
守りたいものも増えてくる。
社会状況もシニアにウエルカムかというと? 現実はそれほどきれいにはいかない。
だからこそ、仕事を決めていく選択基準とそのプライオリティが重要になってくる。
選択の基準はだいたい下記5点ぐらいだろう。
1.職種、経験、スキル:自分がもっている、言語、基盤(オープン、汎用機)、経験してきた業務・業態
2.案件の決まる早さ:一日も早く。家庭からのプレッシャーも半端ない。
3.単金:やっぱり多くはもらいたい。
4.場所:1時間半もかけてプロジェクトに参加できる人は少ない。
5.働き方:労働時間だったり、フルではなく週4日まで等々
私は、案件をご紹介する側として案件の選択肢が多くなるようアドバイスをするが、難しい人がいる。
例えば単金。やはり昔もらっていた高い給与レベルに固執される方もいる。
単金で案件を選択するので、本人の現状のスキル・経験では難しいところに何回も面談トライ
していくこととなる。
(経験も積んでいるので、年齢かさむほど高く売れると考えている方もいらっしゃる。
でも、残念なことに、単金が高いのは40代と特殊スキルに秀でている方だ。)
こうした選択は、いいとか、悪いとかではなく、私自身はその方の選択だと考えている。
私もなるべく本人の希望に近い形にはしようとはするが、最終的にはご本人がどこまで就労していく
マーケット状況に合わせられるかということに行きついてしまう。
それでは、何を基準に考えるべきなのか。案件を紹介しながら感じるのは、
その方がなるべく長く同じプロジェクトや派遣した会社で働くことが非常に重要ということだ。
それは、転職・転社ではなく、契約社員としてそれぞれのプロジェクトに派遣されるという雇用形態によるところが大きい。
大抵の雇用契約は初回は3ヶ月だ。プロジェクトに参加したものの、パフォーマンスが出せなければ3ヶ月で
(もっと短いこともある)契約解除となる。
職歴表上に3ヶ月案件が続いてしまうとプロジェクトでパーフォーマンスが出せなかったと判断されて、
評価を落としてしまう。そのため次のプロジェクトへの参加ハードルがさらに高くなる。
IT業界は人材不足とは言え、中高齢者ITエンジニアウエルカムかというとまだまだ?だ。
次の案件までの空き:インターバルが長くなってくる。
だからこそ、少なくとも、6ヶ月以上、それより長くプロジェクトを続けられるよう
プロジェクトの中でよい評価をされることが重要なのだ。
高い単金のプロジェクトを選んでもパフォーマンス出せずに3ヶ月案件探し、3ヶ月参画繰り返したら
稼働率50%となってしまう。いくら単金高いといっても1.5倍も2倍も異なることはない。
シニアのエンジニアとって案件のスイッチングコストはバカにならない。
いかに長く働けるか・・そのためには自分のパフォーマンスがしっかり出せる案件を選択すべきだ。
プロジェクトで評価されれば別のプロジェクトでもということで紹介されることもある。
インターバルなく案件にありつくこともできるのだ。
そのためにはやはり、自分のスキル・経験が最優先だろうし、通勤時間や労働時間かと思う。
転職でもないので、案件ごとに単金は異なるので、当初決めた単金に縛られることもない。
長く継続的働くために自分がパフォーマンスを出せる案件を選択すること。
そのための「選択基準」と「優先度」、「許容度」を持つことこそが必要なのだと感じる。